再生の歩み

再生の歩み

再生の歩み

呉服店・悉皆屋さんとのつき合い方

呉服店・悉皆屋さんとのつき合い方​

現在の加工技術なら、ほとんどのトラブルが解決できます。ただし完全に直すには時間と費用が かかります。相談される前にきものへの愛着心、使い道、予算などを考えた上でどのくらいまで直すのかおおよそのビジョンを描きましょう。着る人の意図を伝えることが大切です。様々な選択肢をご相談、ご提案させていただきます。

◆親しくしている呉服屋さんがあれば、お手入れや直しにどの程度まで対応してくれるのか聞いて確認してみましょう。
◆自分で汚れ、しみのチェックをしてみましょう。
◆季節(衣替えなど)にチェックをしトラブル回避しましょう。
◆痛みや汚れが大きいときは、リフォームを考えましょう。またリフォームを楽しみましょう。


きものと暮らしの知恵


きものと暮らしの知恵

きものは細長い一枚の布(並幅九寸八分・現在は尺及び尺二分が)を縦横、直線に裁ち縫い合わせて作ります。身頃や袖、衽、衿などで構成されており着る人の寸法に合わせてはさみをいれます。場所は変わりますが、余分な部分も縫い込んで処理し布を切り取ったり捨てることは基本的にありません。ほどけば一枚の布にもどります。 きものの構造が成立したのは平安から鎌倉時代。 それから千年以上、形を変えずに伝えられてきた最大の理由は、合理的で実用的だったという一点に尽きるかと思います。
着物を着る女性

◆当時布は大変貴重なものだったので、これを繰り返し大切に使うことは自然な発想だったと思います。
きものは、発祥の当初から再生を前提に作られているのです。ワンシーズン使い終えて一枚の布に戻せば、季節に合わせて単衣を袷にしたり、綿を入れたり家族や他の人のために作りなおすことも自在です。
江戸時代には多くの古着屋さんがあり、ほとんど庶民の人達は古着を買って自分で直して着ていたといいます。
古いものだと生地が弱っていたり汚れがひどいものもあります。真剣に生地の組み合わせ方を考え、袖と身頃を取り替えたり裏表替え足し布をしたりほとんどパズルです。きものだからできることだと思います。
洋服は再生のことを、きもの程余り考えていないと言えるのでは。洋服は繰り返し仕立て直すのは難しいのではないでしょうか。
きものの仕立は着る人と生地の状態に合わせて形にしていくのが仕事ですが、同時に次に再生する時のことを考えて反物に向い合わないといけないと職人さんからよく言われた事を思いだします。

きものの帯

きものは再生時には糸を解き、一枚の布に戻して洗い、染め直し、仕立て直しなどを重ねます。
このとき、生地には多少の負担がかかりますが、きものに使われる絹や木綿などの天然繊維はそれに耐えるリサイクル素材でした。 素材の特性をよく知り、扱いにたけていたのです。たとえば絹は水で洗い、風を通すと繊維がふわりと甦り、保温性や柔軟性など本来の性質を取り戻します。高温での蒸しや浸染、強い薬品を使った染めの加工にも強い耐性を発揮し、スレやカビなど生地のトラブルさえなければ、ずっと使い続けることができます。
また木綿、麻は染め直しなどには適しませんが、布としての堅牢度が高く、農作業用や庶民の日常着として発達し、刺し子のような補強、裂織りなど再生の知恵、工夫も各地方で多く生まています。

きものは再生時には糸を解き一枚の布に戻して洗い、染め直し、仕立て直しなどを重ねます。
このとき、生地には多少の負担がかかりますが、きものに使われる絹や木綿などの天然繊維はそれに耐えるリサイクル素材ではないでしょうか。素材の特性をよく知り扱いにたけていたのです。
たとえば絹は水で洗い、風を通すと繊維がふわりと甦り保温性や柔軟性など本来の性質を取り戻します。
高温での蒸しや浸染、強い薬品を使った染めの加工にも強い耐性を発揮し、スレやカビなど生地のトラブルさえなければずっと使い続けることができます。
また木綿、麻は染め直しなどには適しませんが布としての堅牢度が高く、農作業用や庶民の日常着として発達し、刺し子のような補強、裂織りなど再生の知恵、工夫も各地方で多く生まれています。

◆家族や親しい人からきものを譲っていただく、そんなうれしい経験をしたことのある人は多いはずです。
一方では、傷みがあったり寸法が合わないために着られないきものが引き出しにたくさん眠っている、そんな人も案外たくさんいるようです。
きものは本来、再生を目的に作られた世界でも珍しい衣服です。
着る人の寸法に合わせ、一反を裁断し縫い合わせて形にするので、糸をほどけば、再び反物の状態に戻ります。昔は反物に戻して洗い、仕立直しを繰り返して、襦袢に、小物に、最後には赤ちゃんのおしめにと使いきって、布の命をまっとうさせていました。
以前は着る人自身が洗い張りや仕立ても行っていましたが、現在では小売店(呉服店)でも扱っていますが、お店によって積極性には大きな開きがあります。
きものの修繕、再生のプロ、悉皆屋があります。
思い出の大切なきもの、お気に入りのきものを、自分らしく再生して楽しむための方法、私たち悉皆屋さんとのつき合い方を参考までに紹介します。

着物の女性

再生して、自分らしく思い出のきものを大切に着ませんか。


悉皆屋さんとの上手なつき合い方


悉皆屋さんとの上手なつき合い方

最初にどの程度まで再生したいのか決めましょう。

◆「現在の加工技術なら、ほとんどのトラブルが解決できます」。ただし完全に直すには、時間と費用がかかります。
相談される前に、そのきものへの愛着度、使い道(用途)、予算などを考えたうえで、どのくらいまで直すのか直してほしいのかおおよそのビジョンを描きましょう。
着る人の意図を伝えることが大切です。
その後はさまざまな選択肢を相談提案しあってゆきます。

悉皆亀井トップページ着物の女性

◆親しくしている呉服店があれば、お手入れや直しにどの程度まで対応してくれるのか聞いて確認してみましよう。
悉皆屋さん呉服店選びでは、まず希望のお手入れや直しを扱う店かどうか確認して下さい。その店のルーツを知っておくと得意分野がわかります。
きもの作りの現場に詳しい悉皆屋さんは、染めの加工やトラブルの対応に強いといわれています。
個人に対応してくれる悉皆屋さん選びは、ホームページを開設しているところもあります。多くは、「京染め」、「染物」の看板を揚げています。


きものの再生を行うとき


きものの再生を行うとき

◆見積りを必ずとることです(概算でも)。
また、きものを解いてわかることがありますのでご理解を。

◆自分で汚れ、しみのチェックをしてみましょう。きものの汚れや染みはなるべく早く対応することが大切です。
また成分によって落とし方が異なるので注意が必要です。母乳による染みは直に出して下さい。

古墳公園大池

◆季節のチェックでトラブル回避。着る頻度に合わせて洗い張りに。
きものには水洗いがいちばんよいのです。繊維に詰まった汚れや不純物を落とし、水を通すことで布が呼吸し甦ります。
洗い張りに出すタイミングと回数は初心者のいちばんの悩みどころですが、きもの通の方に聞いても回答はさまざまです。
但し洗い張りは仕立ても必要になるため最低でも二ヶ月程かかります。
例えば、お茶のお稽古などできものを着る人は、膝のスレや飲食物の汚れ等が多く毎シーズン洗い張りに出す人、染み抜き汗取りで対応する人さまざまです。
汗は水洗いでしか落ちないので、夏物だけは必ず洗い張りをする人もいます。
着用が年に一~二回程度のきものなどは、染み抜きを行い保管するとカビや黄変のリスクが抑えられます。
着る頻度によって対応することをおすすめします。衣替えの時期などにチェックし、洗い張りの時期や種類について相談することが確実です。

茶話会

◆傷みや汚れが大きいときはリフォームを考えましょう。リフオームを楽しみましょう。
きものを着る機会が少なくなり、箪笥に何年もしまい込んだり保管の環境や手入れが十分でないために、昔はなかったトラブルが発生するようになりました。
また、新築の建て物などは気密性が良いため、桐箪笥などは桐本来の機能が働かず桐箪笥の中のきものにカビが発生したり、また文庫紙の成分が化学反応を起こしてきものを黄変させたり洗剤や薬品が残留して変色させたりがあります。
最近ではしみ抜きや色補正などの技術も高度になっていますが、もしカビの跡や汚れが残ってしまう場合でも柄を(模様)伏せて色をかけたり、吹雪の模様を散らしたりあるいは大きくデザインを変えて新しい印象のきものに作り変えることができます。
生地が弱って加工に耐えられなくなっても状態のいい部分を使って帯や、羽織、小物などができます。
物があふれている現代だからこそ、愛着のあるきもの一枚一枚と向かい合い大切に使い続けたいものです。

洗い張り写真

◆汚れやしみの種類と対応。
自分で落とせるもの、単純な油性、水分の汚れ。衿元(油性、肌色顔料)。
袖口、果汁、お酒、お茶、コーヒー、ジュース(水分)、調味料等。ご自分で染み抜きを行いしっくりいかない場合は専門の窓口へ。
石川県内での悉皆業の専門店は皆無です。呉服店の染み抜き、アフターのウェイトは線香花火と同様の処もあります。また、アフターを撥水加工に任せているところもあります。

昭和30年代初め頃の能登上布

(昭和30年代初めの能登上布)

(白い処がカビです。桐の箪笥の中で)


彩色工程


彩色工程

資料提供(中町 豪太氏)

下絵

下絵

細目糊

細目糊

彩色

彩色

伏せ糊

伏せ糊


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